「総合格闘技興行におけるコミッション、協会のあり方」番外編vol.1
■[シリーズ]「総合格闘技興行におけるコミッション、協会のあり方」本編vol.1
http://d.hatena.ne.jp/mmanhb/20101114/p1
上記記事の続きですが、早速番外編です。「興行と団体の違い」から派生しての日記です。
先日、twitter上でパンクラスismの近藤有己選手がガソリンスタンドで働いているという事が話題に上りました。自分はその事にとても驚きました。それは近藤選手が過去に実績があるからでも、近藤選手が株式会社パンクラスの役員だからでもありません。パンクラスが、団体であるから、団体として選手を雇っているから、練習生制度(内弟子、付き人、付け人、徒弟制度)を取っているからです。
プロ修斗、DEEP、ZST、CAGE FORCEの王者がフルタイムのファイターでなくても驚きません。もっと言えば、DREAM、SRC、UFCの王者がフルタイムのファイターでなくても驚きません。しかし、パンクラスの練習生がフルタイムのファイターでなかったら驚くのです。
プロボクシング、キックボクシング、K-1の王者がフルタイムのファイターでなくても驚きません。しかし、大相撲、プロレス、武道(空手、合気道等((柔道、レスリングという実業団が確立されている競技はまた別)))の練習生(内弟子)がフルタイムのファイターでなかったら驚くのです。
DREAM、SRC、UFCに所属選手はいません。でも、パンクラスにはいるのです。練習生は掃除、洗濯、調理、雑用をやらなければならないけど、それさえやれば、練習環境(ただのトレーニングだけでなく、食事や睡眠も含む)が与えられます。だから、練習生時代を終えた先輩ファイターは当然、練習に専念できるものと思っていました。他の同規模の興行を打っているところがそんなに稼いでいないのに、
どうやってその資金を捻出してると思ってたんだと訊かれれば、答えられないのですが……。
近藤選手は既婚者で、寮生活ではないでしょうから、それらの事情で例外なのかもしれません。でも、例えば鳥生将大選手や、金井一朗選手等、まだ寮生活かな、と勝手に自分が思っている選手たちもアルバイトをしていたりするんでしょうか?所属選手は、道場でのレッスン等はそれで何時間いくら、何日いくらの報酬が発生するわけではなく、正社員として「業務」の一環で行っていると考えていたのですが、そうではないのでしょうか?
例えばプロレス団体等でも、所属選手は正社員である、と思っています。そして、正社員の生活を保障できない会社なんて普通は考えられない、と思っています。プロレスのことはkamiproのプロレス記事をたまに読む程度の偏った知識しかないんですが、プロレス団体でも、所属選手を雇用していなかったり、あるいは正社員として雇用していても、他に副業をしていたりするんでしょうか?
メジャーといわれる新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリングノアは、あるいは勢いがあるといわれるドラゴンゲートやDDTプロレスリングはどうなんでしょうか?
もはやパンクラスでは、所属選手でありながら雇用すらしていないんでしょうか?パンクラスの練習生制度が形骸化するということは、
プロレスから派生した日本格闘技史の一側面を制度として背負うパンクラスの特色が薄れるということで、かなり残念な思いです。
参考
http://togetter.com/li/58765
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%98%E3%81%8D%E4%BA%BA
http://kotobank.jp/word/%E5%BE%92%E5%BC%9F%E5%88%B6%E5%BA%A6
http://www.unkar.org/read/ex24.2ch.net/k1/1216226026
KURASH内紛
今日、センコーpresents 『戦極 Soul of Fight』の会見がありました。出席していた日本格闘競技連盟の事務局長を勤める鎌賀秀夫氏は日本クラッシュ協会専務理事でもあるわけですが、日本クラッシュ協会って内紛起こしてたんですね。
日本クラッシュ協会
http://www12.ocn.ne.jp/~ysc6/toppage.htm
日本格闘技連盟への不審
http://www12.ocn.ne.jp/~ysc6/kougi1.htm
「総合格闘技興行におけるコミッション、協会のあり方」本編vol.1
ゴング格闘技11月号の「MMA“越境”座談会」を読んだ事をきっかけに、今まで考えていたことをまとめて書こうと思っていたのですが、分量が余りに長くなりそうなので先延ばしにしているうちに、かなり時間がたってしまいました。その間にもテーマに関連した思い付きも増え、一度に書ききれないので、思い切ってシリーズ(おおげさ)にすることにしました。本筋以外の思い付きもかなり多いので、「番外編」も増えそうです。
今日の日記も、本題には入らず、「MMA“越境”座談会(熊久保英幸=文)」の記事中で、気になった単語の使い方について書きます。
この記事では冒頭で、3“団体”の代表が語り合った、と銘打たれていますが、佐伯繁氏はDEEP事務局代表として、坂本靖氏は株式会社パンクラス代表として、久保豊喜氏は株式会社ジーシーエムコミュニケーション代表として、それぞれの“興行”の代表として出席しています。この記事に限らず、ある興行を主戦場とする選手同士の試合を、「団体対抗戦」と表現するなど、興行を団体と言い換える格闘技マスコミ・格闘技関係者は本当に多いです。ファンならいざ知らず、職業にしている人たちがこういう表現を使うと、本当にこの十数年間の格闘技の流れを見てきたのかと疑問に思います。以下に書くことはプロレスから総合格闘技への変遷をリアルタイムで見ていない自分ですら、わかっていることです。
日本の総合格闘技界にPRIDE以前以後というものがあるとしたら、その特徴として運営形態が“団体”から“興行”に変わった事が必ず挙げられるはずです。
新日本プロレス、旧UWF、新生UWF、藤原組、UWFインターナショナル、リングス、パンクラス、キングダムという、プロレスから総合格闘技に至る過程で生まれた“プロレス団体(格闘技団体)”には「所属選手」がいました。各団体(=運営会社)は大会開催という業務と同時に、道場・ジムの運営(選手の育成)という業務も行っていました。また、選手は社員でもあったわけです。
対してPRIDEは団体ではなく興行・イベントでした。「PRIDEは場である」と言っていたような気もします。PRIDEの運営会社であったDSEは大会を開催するだけの組織となったわけです。選手育成は各道場・ジム(高田道場、吉田道場等)、そして、所属選手がいなくなったことで、興行会社と選手の間に立ちマネジメントする組織(同じく高田道場、株式会社ジェイロック等)も生まれました。そして、PRIDEが場であったことで、さまざまな団体、道場、ジムからの選手が参戦し、PRIDEの隆盛を築く一因になったわけです(後年は、「○○はPRIDE系(あるいはK-1系)だから××に出場できない」と言うような、「所属選手」扱いによる「団体化」のような事も起きましたが、かといって、実際に運営会社に所属していたわけではありません)。
そしてPRIDE以降に生まれたDREAM、SRC(戦極)、HERO'S、DEEP、ZST、CAGE FORCEや、その他生まれては消えた各総合格闘技大会もそのほとんどが「場」としての興行だったわけです。(CAGE FORCEは和術慧舟會の自主興行的側面もありますが、久保氏自身がメジャー興行の「団体化」へのあてつけもあって、「誰でも上がれる舞台」と言っているので加えています)
以上のことは、自分が考え付いたわけでは当然なく、格闘技雑誌等では良く書かれていたことです。“前提”といって良い事項だと思います。このような、経緯を認識していれば、現時点では、プロレスと格闘技を隔てる大きな要素のひとつとなっているわけですから、“団体”と“興行”を混同して使うようなことはないはずです、特に、その変遷を間近で見てきた記者にとっては(興行対抗戦より団体対抗戦のほうが響きが格好良いから使いたくなる気持ちはわかります、意味は違いますが、興行戦争と語感的にも似通ってしまいますし)。
※ ここでは、クラブ・オーナー(クラブ=道場・ジム)、マネージャー、プロモーター、ボクサーがそれぞれライセンスで明確に分業化されているプロボクシングを参考にしている修斗は省略しています。総合格闘技界では唯一無二の運営形態のため。
もうひとつ、書くべきか迷ったのですが、同じ記事で気になる使われ方をしているのが「プロモーション」と言う単語です。この単語も、“団体”と同じく格闘技マスコミ・格闘技関係者の中でよく使われているようです。文脈を見ると以下の意味で使用していることが推測できます。
1.興行主個人を指す単語がプロモーターとしたら、組織を指す単語として。つまり格闘技興行主催会社等を指す単語として。
2.興行主(プロモーター)がプロモートするものを指す単語として。つまり興行・イベント・大会を指す単語として。
英英辞書でも英和辞書でもいいので、辞書を引いていただけるとわかると思うのですが、そういう使用方法はありません。promoterという単語は個人にも組織にも使えますし、2については単に興行やイベントといえば言いだけです。
と、ここまで一度、頭の中で考えていて、先日気付いたのですが、オスカー・デ・ラ・ホーヤが創立したプロボクシング興行主催会社「ゴールデンボーイ・プロモーションズ」はプロモーションという単語を使っているわけで、1の意味は慣用的に使われているのかもしれません。また、「MMA promotion」でgoogle検索しても、結構1や2の使い方をしている英語ページがヒットします。
というわけで、辞書上の意味にとらわれている自分のほうが間違っているのかもしれません(詳しい方、教えて頂きたいです)。
参考
http://jbgl.jp/jbc_rule.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Promoter_(entertainment)
http://en.wikipedia.org/wiki/Golden_Boy_Promotions
小松憲吾研究
序論
小松 (前半略)それに佐伯さんもあんな身体だから、急に死ぬこともあるわけじゃないですか。そうなったらどうするか考えなきゃいけないなっていうのはありますね。
――もし何かあったら、それも小松さんのところに来るわけですね。
小松 そうですね。佐伯さんからも「そりゃおまえになるわなあ」って言われました。いい加減な感じでね。「どうしたらいいの?」って話ですよね?
――確かに(笑)
日本の総合格闘技の中規模興行にはそれぞれ特色があります。各々の興行にとっての独自性、アイデンティティー、つまり差異を生んでいる部分、失ったら没個性化してしまう部分とはなんでしょうか?
修斗にとっては真剣勝負への希求(およびそれにより促された制度面の発展など“競技”としての歩み)。パンクラスにとっては名称そのもの(つまりU系含むプロレス団体との連なりや、また自身も新弟子(練習生、内弟子)制度を持つ“団体”である事など、ガチプロレスとしての歴史)。ZSTにとってはそのルール(真剣勝負の中でエンターテインメントを生み出す工夫とリングスの系譜にあることの象徴)。CAGE FORCEにとってはオクタゴン(ヒジありグラウンドキック無しのルール含め、対北米への意識)。では、DEEPにとっては何なのか?それは、佐伯繁個人のように思います。
もちろん、修斗における株式会社サステインの坂本一弘代表、パンクラスにおける株式会社パンクラスの川村亮代表(坂本靖前代表)、ZSTにおけるZST事務局の上原譲代表、CAGE FORCEにおける株式会社ジーシーエムコニュニケーションの久保豊喜代表、それぞれも各興行でなくてはならない存在だと思います。
ただ、ルチャを呼んだり、PRIDEやDREAMと組んだり、真剣勝負の中にゆるい試合を組んだり(そして観客がそれを許す雰囲気を作ったり)といった、DEEPのDEEPらしさ、DEEPの特色である部分というのは、佐伯氏個人のキャラクターが生んでいると思いますし、その意味で、DEEPというのは、他の興行と比べて、そのの存続が代表個人に拠るところがより大きいのではないかと思います。その上、各興行のプロモータの中で生命が最も危ぶまれているのが佐伯氏というのが笑えない冗談です(笑)
では、佐伯氏に万が一の事態が起きたとき、後を継ぐと思われる佐伯氏の右腕・小松憲吾氏とはどんな人物なのでしょうか。
何に関わっているのか
そういうところもあったので稲垣組は小松社長という、いま『DEEP KICK』もやっている人間に売却したかたちですね。
「日本格闘技界のウラ・オモテ」P.189
総合格闘技&HIPHOP「REALRHYTHM」
DEEP事務局&リアルリズム事務局
2005年3月6日(日)大阪・ZeppOSAKA
: 大阪で、後楽園ではないところで一発目というのは近年なかったことだと思いますが…。
■ 尾崎社長:そうですね。そんな深い意味はなかったんですけど(笑)。でも、気持ちとして年が明けて、一発目が大阪っていうのも雰囲気が変わりましたよね。気持ちがちょっと違ってきた。恐らく稲垣組の小松代表も、選手も年明け最初の興行が大阪っていうのが何か気持ちとしてあったんじゃないですか?だから、目つきが違っていたような気が僕はしましたね。逆に、長谷川がちょっと一人だけ負けちゃって、悔しそうに…一番最後にリングに上がるときに、涙ぐんでいた。アレを見ると、結構気合が入っていたんだと思うんですよ。稲垣組として。稲垣組っていうのが、パンクラスでもそうですけど、外でも成長しないといけないんじゃないかなって思っていると思うんですよ。それは(前田)吉朗がね、去年外で結果を出せなかったっていうのが、やっぱりあると思うんで。だからそういう意味では稲垣組が変わっていっていうか、新生稲垣組なのかもしれないけど、恐らくもっと出てくると思います。パンクラスの中でも。コスタリカでも。伊藤あすかなんていいんじゃないですか?女子の試合も結構『bodog』は盛んにやっていますから。小松代表と相談します。http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2007/0204/itv2/ozaki.html
■[パンクラス][DEEP]パンクラス稲垣組オーナー問題(おおげさ)に決着!
http://d.hatena.ne.jp/mmanhb/20101101/p1
リンク記事と重複しますが、上記引用からもわかるとおり、小松氏はDEEP取締役として大阪のDEEP系大会に関わっており、一方で稲垣組代表としてパンクラスの大阪大会にも関わっているようです。
少し驚きましたが、考えてみれば当たり前の話でもあります。格闘技興行会社の商業規模で、地方に本社以外のオフィスを構える事は難しく(例外として、DEEP事務局は本社自体を名古屋においているみたいですが)、地方興行も現地のジム・道場等がプロモータを行っているところが多いです。普段東京にいるスタッフが何度も現地入りしていては交通費・宿泊費も馬鹿にならないし、任せる所は現地に任せないと意思決定も遅くなりますから、興行を打ちたい現地の人間がいれば任せるのは当然と言えるでしょう。
例として、プロ修斗では、名古屋大会(SHOOTO GIG CENTRAL)は鈴木陽一氏・ALIVE、北海道大会(SHOOTO GIG NORTH)はパラエストラ札幌出身の武田憲一氏・TTera(ダブルティーエラ)、大阪大会(BORDER)は直心会格闘技道場の小池孝典氏・T.Kプロモーションなど、現地のオフィシャルジム中心で行われています(形式的にはプロ修斗の興行を行うにはプロモータライセンスが必要なので、保持していない場合は、日本修斗協会、パラエストラ、K's FACTORY等と共催)。GCM系では大阪のDEMOLITION WESTは和術慧舟會兵庫支部を中心に行われており、こちらも現地の系列道場。DEEPにはオフィシャルジムや系列の道場が全国にあるわけではありませんが、富山大会は福本吉記氏・クラブバーバリアン、名古屋大会は梅村寛氏・NEX-SPORTS、浜松大会は服部啓氏・HARD CONBATとIKGプロモーション(IKG伊藤興業)と、こちらも関係の深い現地の格闘技ジム関係者がプロモータとなって開催されています(詳しくはhttp://fightislands.jp/archives/51485912.html)。パンクラスも沖縄大会は当時、パンクラスREAL所属の砂辺光久選手が中心となり開催されました。
以上のように、東京をメインに活動している興行会社が、地方で興行を打つ際は、現地のプロモータにある程度委任して行う場合が多いように思います(逆に、地方のプロモータが東京の興行の看板を借りているとも言える)。
では、本題に戻ってパンクラスおよびDEEPの大阪大会がどのように行われているかと想像すると、パンクラスにはP's LAB大阪(パンクラス大阪、パンクラス大阪道場、パンクラス稲垣組)という系列道場があり、DEEPには現地在住の自社スタッフ(=小松氏)がいるわけですから、その利点を生かして興行を打とうとするのは当然の話です。このことから、P's LAB大阪オーナーであり、DEEP事務局取締役の小松氏は、パンクラスおよびDEEPの大阪大会に少なからず関与していても不思議ではないと考えられるわけです。
近畿地方で“継続して”行われている総合格闘技のプロ興行は、プロ修斗では上記のBORDERとサステイン主催のSHOOTO GIG WEST(券売とかみると、サステインと同じSTG(シューティングジム、修斗ジム)系列のシューティングジム大阪が運営にも関わってるんでしょうか?)、同じく上記のDEMOLITON WEST、インディペンデントのRISING ON(ライジングオン、旧POWER GATE)、そしてパンクラスとDEEPがあるので、小松氏は近畿地方の主要興行5つのうち2つに関与しているわけです。
また、同じく近畿地方で継続して行われている立ち技格闘技興行は、DEEP KICK、GCM VOLTAGE、ACCEL、MAキックの興行(T.Kプロモーション主催、KAKUMEI主管)、NKBの興行(大阪真門ジム主催)、シュートボクシング(ヤングシーザー杯)がありますが、年間興行数トップはDEEP KICKです。
パンクラスおよびDEEPのそれぞれの興行にどの程度まで関与しているかは定かではありませんが、このような経緯から、近畿地方のプロ格闘技興行において、小松氏は大きな影響力を持っているのでは、と推測してしまいます。
いつから関わったのか
年月日 | 出来事 |
---|---|
2001年1月8日 | DEEP旗揚げ(DEEP第一期スタート) |
2001年3月 | P'sLAB大阪開設 |
2002年3月 | エア・サプライ来阪 |
2002年3月30日 | DEEP 4th |
2002年6月9日 | DEEP 5th |
2002年9月7日 | DEEP 6th(DEEP第一期終了) |
2002年12月8日 | DEEP 7th(DEEP第二期スタート) |
2003年3月4日 | DEEP 8th |
2003年5月5日 | DEEP 9th |
2003年6月25日 | DEEP 10th |
2003年7月13日 | DEEP 11th |
2003年9月15日 | DEEP 12th(DEEP第二期終了) |
2003年11月17日 | エア・サプライ来阪 |
2004年1月22日 | DEEP 13th(DEEP第三期スタート) |
では、小松氏はいつから格闘技に関わるようになったのでしょうか?「kamipro Special 2010 NOVEMBER」の小松氏インタビューによると、P'sLAB大阪開設の際はボランティアで、DEEP旗揚げ当初は手が空いていたら手伝うというスタンスだったと振り返っています。その後、P'sLAB大阪のオーナーを引き継いだり、DEEP事務局の取締役になったりと本格的に関わるようになったきっかけは、「大失敗したDEEP6thの後、エア・サプライというバンドが来阪した際に相談されて」と語っています。
ただ、上記の表を見てもらってもわかるとおり、ネットで調べる限り、DEEP 6thの近い時期でエア・サプライが来日し大阪含む各地で公演をしたのは、DEEP 6thの6ヵ月前か、14ヵ月後ということになります。本格的に関わったのが2003年11月以降の話だとするとDEEP 6thから間に6大会も挟み、しかも「日本格闘技界のウラ・オモテ」によると佐伯氏はその6大会をDEEPの第二期として認識しているようで、小松氏は第二期の認識が丸々抜け落ちていることになってしまい、時系列的に少し矛盾を感じます。
これはネット上でヒットしないだけで、エア・サプライが2002年冬にも来日していたのかもしれないし、小松氏が少し思い違いをしているのかもしれません。どちらにしろ、2002年9月から1年数ヶ月の間に、P'sLAB大阪のオーナーを引き継ぎ、DEEP事務局の取締役になり、佐伯氏の右腕として格闘技界に本格的に関わり始めたという事は間違いなさそうです。
年表
最後に小松氏はどれだけの大会に関わったのかという点について、小松氏の業務の範囲というのが今ある情報だけでは正確にはわかりませんので、大なり小なり関わっていそうなものをとりあえず時系列に羅列してみます。その中には、関与の範囲がボランティア程度の場合もあれば、逆にパンクラスなら坂本氏(かつては尾崎允実氏)、DEEPなら佐伯氏が、東京開催の興行で行っているレベルの事まで権限と責任を与えられている場合もあるかもしれません。
2007年と2008年の年末に、それぞれ大阪と東京で行われたDEEP PROTECT IMPACTという興行がテレビ大阪にて地上波放送されています。今のご時勢、テレビ局側から格闘技を取り上げようとしたとは少々考えにくいので、小松氏がテレビ大阪に営業をかけて放送の機会を得たか、それとも大阪に拠点がある冠スポンサーの有限会社プロテクトを通じて放送の機会を得たかどちらであるか定かではないですが、地上波放送を獲得できる地元スポンサーを連れてくる営業力を小松氏は持っている、とは言えるのではないでしょうか。ちなみに寒川慶一選手のブログでは、DEEP KICKにおける小松氏の役割は「メディアや媒体関連」であると記されています。近畿圏のマスコミ・メディアには顔が売れているのかもしれません。
年月日 | 興行名 | 会場名 | 備考 |
---|---|---|---|
2001年8月25日 | PANCRASE 2001 PROOF TOUR | 梅田ステラホール | |
2002年2月17日 | PANCRASE 2002 SPIRIT TOUR | 梅田ステラホール | |
2002年5月11日 | PANCRASE 2002 SPIRIT TOUR | 梅田ステラホール | |
2002年8月25日 | PANCRASE 2002 SPIRIT TOUR | 梅田ステラホール | |
2003年2月16日 | PANCRASE 2003 HYBRID TOUR | グランキューブ大阪 | |
2003年6月22日 | PANCRASE 2003 HYBRID TOUR | 梅田ステラホール | |
2003年7月13日 | DEEP 11th IMPACT in OSAKA | グランキューブ大阪 | |
2003年10月4日 | PANCRASE 2003 HYBRID TOUR | グランキューブ大阪 | |
2003年12月7日 | clubDEEP 大阪 | デルフィンアリーナ | |
2004年2月15日 | PANCRASE 2004 BRAVE TOUR | 梅田ステラホール | |
2004年4月18日 | DEEP 14th IMPACT in OSAKA | 梅田ステラホール | |
2004年8月22日 | PANCRASE 2004 BRAVE TOUR | 梅田ステラホール | |
2004年11月28日 | clubDEEP 8th in OSAKA | デルフィンアリーナ | |
2005年3月6日 | REALRHYTHM | Zepp OSAKA | |
2005年4月10日 | PANCRASE 2005 SPIRAL TOUR | 梅田ステラホール | |
2005年9月4日 | PANCRASE 2005 SPIRAL TOUR | 梅田ステラホール | |
2005年11月19日 | REALRHYTHM 2nd STAGE | Zepp Osaka | |
2005年12月23日 | ダブルアール | よみうり文化ホール | |
2006年2月19日 | ダブルアール | よみうり文化ホール | |
2006年3月4日 | REALRHYTHM 3rd STAGE | Zepp OSAKA | |
2006年3月19日 | PANCRASE 2006 BLOW TOUR | 梅田ステラホール | |
2006年4月29日 | ダブルアール | よみうり文化ホール | |
2006年7月30日 | REALRHYTHM 4th | Zepp Osaka | |
2006年10月1日 | PANCRASE 2006 BLOW TOUR | 梅田ステラホール | |
2006年11月18日 | REALRHYTHM 5th STAGE | Zepp OSAKA | |
2007年2月4日 | PANCRASE 2007 RISING TOUR | 梅田ステラホール | |
2007年2月10日 | ダブルアール4th STAGE | アゼリア大正ホール | |
2007年7月8日 | DEEP 30 IMPACT | Zepp Osaka | |
2007年9月30日 | PANCRASE 2007 RISING TOUR | 梅田ステラホール | |
2007年10月13日 | clubDEEP 大阪 | アゼリア大正ホール | |
2007年12月22日 | DEEP PROTECT IMPACT in OSAKA | 梅田ステラホール | テレビ大阪で地上波放送 |
2008年5月25日 | PANCRASE 2008 SHINING TOUR | アゼリア大正ホール | |
2008年7月27日 | DEEP 36 IMPACT | Zepp Osaka | |
2008年9月7日 | PANCRASE 2008 SHINING TOUR | アゼリア大正ホール | |
2008年12月6日 | ファイティングロード杯 ダブルインパクト | 大阪府立体育会館第2競技場 | |
2008年12月22日 | DEEP PROTECT IMPACT 2008 | 新宿FACE | テレビ大阪で地上波放送 |
2009年6月7日 | clubDEEP 大阪 | アゼリア大正ホール | |
2009年7月5日 | DEEP KICK 旗揚げ大会 | Zepp Osaka | |
2009年8月30日 | DEEP OSAKA IMPACT | Zepp Osaka | |
2009年11月8日 | PANCRASE 2009 CHANGING TOUR | アゼリア大正ホール | |
2009年12月23日 | DEEP KICK 2 | 大阪府立体育会館第2競技場 | |
2010年1月24日 | DEEP 45 IMPACT | Zepp Osaka | |
2010年3月7日 | CLUB DEEP KICK vol.1 | 神戸ウインターランド | |
2010年3月22日 | PANCRASE 2010 PASSION TOUR | アゼリア大正ホール | |
2010年4月4日 | DEEP KICK 60キロ級関西最強決定トーナメント1 | テクスピア大阪 | |
2010年6月6日 | DEEP CAGE IMPACT 2010 in OSAKA | Zepp Osaka | |
2010年6月20日 | CLUB DEEP KICK vol.2 | アゼリア大正ホール | |
2010年7月4日 | CLUB DEEP KICK vol.3 | 神戸ウインターランド | |
2010年8月8日 | DEEP KICK 4 | テクスピア大阪 | |
2010年10月17日 | CLUB DEEP KICK vol.4 | 神戸ウインターランド | |
2010年12月19日 | PANCRASE 2010 PASSION TOUR | アゼリア大正ホール |
パンクラス稲垣組オーナー問題(おおげさ)に決着!
矢作「でも前田はDEEPの佐伯代表がオーナーをやってる大阪のP'sLABの選手でしょ?」
井田「いや、既にP'sLAB大阪はオーナーが変わって、DEEPに拘束権みたいなものはないと思うんです。ただ年期奉公的な意味合いもあったろうし、前田自身、武士道に選手供給しているDEEPでベルトを取って、もう一回武士道出陣につなげたかったんでしょうね」
http://allabout.co.jp/gm/gc/212672/2/
「佐伯代表と語ろう! 」掲示板でこの話(および佐伯繁氏がP'SLAB大阪オーナーをやめたという井田記事)について触れた投稿が消えていた。管理者が消したのか、投稿者が消したのかは不明。(内容的には、記事を元に佐伯氏やDEEPを批判、中傷したものでは全くなかった)
2006-01-05
http://cgi.deep2001.com/cgi/deep2001.com/user-cgi-bin/bbs/index.cgi
上記バウトレビュー井田英登氏の記事やid:gryphonさんの記事で話題となっていた、パンクラス稲垣組をプロチームとして擁する総合格闘技ジム「P'sLAB大阪(ピーズラボ大阪、パンクラス大阪道場)」のオーナーが誰かという話題について、DEEP50回大会記念の佐伯繁本「日本格闘技界のウラ・オモテ」P.189で以下のように語られています。
井田氏の発言からするとP'sLAB大阪とDEEPは無関係なように読めますが、そういうわけではないみたいですね。
パンクラス稲垣組の選手なんだけど、そのジムのオーナーは僕なわけじゃないですか。だから、パンクラスで勝っていくのを見ながら最初は「なんでこの選手、ウチに出ていないんだ?」って思いましたね。DEEPの代表でパンクラス道場のオーナー、何かよくわからないですね。
そういうところもあったので稲垣組は小松社長という、いま『DEEP KICK』もやっている人間に売却したかたちですね。そこで一本線を引くっていうんじゃないですけれど、僕も金がなくなっていましたしね。
まあ、その小松氏もウチの会社の役員だから身内なんですがね。それで、僕は出来るだけニュートラルな立場になるようにしました。
「kamipro Special 2010 NOVEMBER」P.46にDEEP事務局取締役(代表取締役は佐伯氏)として小松憲吾氏のインタビューが掲載されています。名字やDEEPの役員であることから推測して佐伯本の小松氏と同一人物で間違いないでしょう。このインタビューでは小松氏が佐伯氏の右腕、No.2的存在であることが語られています。
そこで、「小松憲吾」でgoogle検索してみたら下記のページがヒットしました。P'sLAB大阪のオーナーであることはすでに開示された情報だったんですね。大阪で開催されたDEEP系イベントREALRHYTHMのプロデューサーでもあったようです。
ピーズラボ大阪
http://e-gym.info/gym/gym-359.html
代表者 小松憲吾
指導員・トレーナー 稲垣克臣、前田吉朗
総合格闘技&HIPHOP「REALRHYTHM」
DEEP事務局&リアルリズム事務局
2005年3月6日(日)大阪・ZeppOSAKA
・総合プロデューサー 佐伯繁、MAB
http://blog.bodymaker.jp/user/headlines/news/2424.html
・格闘プロデューサー 小松憲吾
・ゼネラルマネージャー 末永孝司
・スーパーバイザー 池本誠知
・サウンドクリエーター 山口知一(マインドプリーズレコード)
・ディレクター MASH(マインドプリーズレコード)
小松氏のDEEP KICKでの活躍は、第3代J-NETWORKスーパーライト級王者であり、SFKキックボクシングジム代表であるキックボクサー寒川慶一選手のブログに詳しいです。
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65367352.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65245767.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65210764.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65179613.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65173761.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65173397.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65157600.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65153953.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65139901.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65135833.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65121480.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65118163.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65113903.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65100259.html
http://blog.livedoor.jp/samukawa_1023/archives/65023656.html
参考
http://www.pancrase.co.jp/tourarchive/2007/0204/itv2/ozaki.html
http://ameblo.jp/igg-s-nonaka/entry-10687746724.html
http://yamaguchidojo.blog78.fc2.com/blog-entry-460.html
http://sunabe.rider.la/blog/aid=10387
http://read2ch.com/br_r/k1/1257708293/
http://www.unkar.org/read/ex21.2ch.net/k1/1200772618
戦極 Soul of Fight
この大会はWVRと日本レスリング協会が共催する形で行われる格闘技イベントで、SRC興行とは別イベント。日本格闘競技連盟に加盟している格闘競技・団体(WVRも加盟)の協力により、総合格闘技の試合だけでなく立ち技や組み技の試合も行う方向で、開催時間は11:00から21:00までを予定。大会には「日本最大の格闘技フェスティバル」「朝から晩まで格闘技」というキャッチコピーがつけられ、その言葉通りに様々な格闘技の試合が一つのイベントで行われる格闘技の祭典となった。
向井代表はこのイベント開催について「当初はアマチュア大会も予定をしていましたが、時間のこともあり、立ち技、組み技、そしてMMA(総合格闘技)のプロの試合を中心に25〜30試合を組む予定です。その中でSRCの大会も行われる形となり、SRCとしては8〜10試合を考えています」とコメント。
イベント名がSRCの前身である“戦極”になった経緯については「SRCという名前をつけてしまうと、SRC限定のイベントになってしまうので、違う名前を考えていました。そこで50〜60の候補が出てきた中で、『格闘技の祭典で戦いを極める=戦極という名前はどうですか?』という話があり、年に1度のイベントということで『戦極 SOUL OF FIGHT』という名前になりました」と説明した。
http://gbring.com/sokuho/news/2010_10/1030_src.htm
12/30に開催される「戦極 Soul of Fight」、日本格闘競技連盟に加盟しているMMA、立ち技、組み技の競技・団体のプロ試合を組むみたいです。それぞれ、興行・大会の開催経験はあるので、風評ほどそんなひどい大会にはならないんじゃないかと思っているんですが、実際はどうなんでしょうね。
MMAはWVRがSRCの試合を、日本修斗協会(および(株)サステイン?)がプロ修斗の試合を、(株)パンクラスがパンクラスの試合を、ZST事務局がZSTの試合を提供する、という風に読めます。
立ち技について。一般社団法人日本ムエタイ協会も加盟しており、会長の鴇稔之が新日本キックボクシング協会の理事で、アジアオリンピック評議会の国際大会であるアジアインドアゲームズに石井宏樹や松本哉朗も参加しているつながりで、新日本キックの試合も提供されたりするのかな?他には、RISEを主催する(株)KGSの代表取締役であり、REBELSを主催するREBELS実行委員会の代表でもある山口元気が日本格闘競技連盟理事になっているので、RISEやREBELSの試合も組まれるのかな(というかKGSの代表って伊藤隆じゃないんだろうか?日本格闘競技連盟のサイトの間違い?株式会社の代表権を有する取締役は1名に限られているわけではないから2人とも代表というのもありえなくはないけど)?また、NPO法人 全世界空手道連盟 新極真会(極真緑派)や全日本空手審査機構(極真会館浜井派、極真坂本道場、芦原会館、西山道場やフルコン系の独立した流派が加盟)も日本格闘技連盟に加盟していますが、プロではないので試合は行わないのかな?
組み技にはプロ試合を開催している団体は参加していない。日本ブラジリアン柔術連盟事務局長でIF-PROJECT前代表の浜島邦明が日本格闘競技連盟理事ではあるので、休止したGiとは別の形でプロ柔術の試合が行われたりするんだろうか?
他の加盟競技・団体は現状すべてアマ、でもコンバットレスリング提供試合とかパンクラチオン提供試合とかはプロ試合の合間に行われそうな気がするな。
まとめ
MMA(SRC、プロ修斗、パンクラス、ZST)
立ち技(新日本キックボクシング協会?、RISE?、REBELS?、新極真会(極真緑派)?)
組み技(プロ柔術?)
参考
http://www.jmaga.org/about_2.html
http://www.jmaga.org/about_3.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%A0%BC%E9%97%98%E7%AB%B6%E6%8A%80%E9%80%A3%E7%9B%9F
http://www.boutreview.com/2/news/mma/item_3785.html
http://gbring.com/sokuho/news/2010_05/0528_rebels.htm
http://www.boutreview.com/2/news/mma/item_3785.html
http://www.kickbox.jp/trainer.html
http://bg.bodymaker.jp/karatenochikara/2009/11/jkjo-1.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E6%A5%B5%E7%9C%9F%E4%BC%9A
PRIDE武士道地上波のまぼろし、WECメジャー化のリアル
タイトルは「PRIDE武士道地上波の夢、WECメジャー化の悪夢」とどちらにするか迷いました。WECのUFCへの統合、つまり軽量級を中心としているWECのメジャー化が発表されました。思い出すのは、2006年、DSE体制のPRIDEのとき、地上波放映が決定されたPRIDE武士道の放送直前でのフジテレビによるPRIDE放送打ち切りがあったこと、そして、2007年、PRIDE FC WORLDWIDE体制のPRIDEのとき、PRIDE本戦でライト級GPが行われる、つまり武士道でやっていたことがPRIDEのメインストリームになるというタイミングでのGP延期とPRIDE FC WORLDWIDE事務所閉鎖があったことです。PRIDE武士道が最後まで実現できなかった軽量級メジャー化の夢はWECによってかなえられる事になってしまった。寂寥感を覚えます。当時と今では「軽量級」の指す階級が違ってはいますが。フェザー、バンタムがメジャー化したら日本はもう打つ手無しですかねぇ。フライも始めるという話もあるし。五味選手の快勝で再開したこのブログですけど、久々にぐったりするニュースです。
続き書くかもしれません。DEEP50観に行きました。今のDEEPバンタム級は熱いなぁ。去年出てた山本篤はDEEPには継続参戦しないのかな?すればさらに盛り上がるのに。というか今年試合してないけど、怪我とかしてるんだろうか。